工作物責任とは?
土地の工作物の瑕疵によって他人に損害を与えた場合に、工作物の占有者・所有者が負う賠償責任をいう(民法第717条)。
工作物責任の概要
原則として責任を負うのは工作物の占有者であるが、工作物の占有者が損害防止のために必要な注意義務を果たしている場合には、工作物の所有者が賠償責任を負う。すなわち、一次的には工作物の占有者が責任を負うが、この占有者の責任は損害防止のために必要な注意義務を果たしていたことを立証すれば免責される中間責任であり、占有者注意義務を果たしていた場合には二次的・補充的に工作物の所有者が無過失責任を負うこととしたものである。
ここで、土地の工作物とは「土地に接着して築造した設備」を指し、地上・地下の構築物、例えば建物・広告塔・水道設備やこれらの設備の一部をなすもの、天井・床・エレベーター等が含まれる。
地震による倒壊で建物所有者が責任を負った事例
事例1 神戸地裁 平成10年6月16日 判決
阪神・淡路大震災で崩落したホテルの宿泊客が、崩落部分の下敷きとなって死亡した事案において、ホテルの設置に瑕疵があったとして、ホテルの所有者に対して被害者2名分の合計約1億100万円の損害賠償を命じた事例。
事例2 神戸地裁 平成11年9月20日 判決
阪神・淡路大震災で賃貸マンションの1階部分が倒壊し、1階部分の賃借人が死亡した事故について、マンションの設置の瑕疵を認め、賃貸人・所有者に対して土地工作物責任が肯定し、7名に対して合計約1億2900万円の損害賠償を命じた事例。
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